MTBのリアタイヤのスポーク交換

前回のMTBのリムの振れ取りで準備した新しいスポークの取り付けを行った.

さて,今回は失敗が多い.
同じような失敗にハマる人は少ないと思うが,今後失敗のないように書いておこう.

準備した道具,部品:
a.スポーク   #14 266mm 2本 ヤフオクで購入.商品代金140円+送料164円=総額304円也.
b.ロックリング外し(フリーホイールリムーバーというらしい)
c.ギヤの供回り防止道具(フリーホイールチューナーというらしい)
d.タイヤ外し(樹脂製)
e.空気入れ
f.マイナスドライバー
g.ニップル回し
h.ビニールテープ
i.プラスドライバー

結局使った道具:
j.リチウムグリス(ヤマハ グリースB)
k.ネジザウルスのニッパー刃の部分
l.圧着ペンチの根本部分

手順:
1.できれば自転車をダンボールの上で逆さにし,リアタイヤを自転車から外す.
2.リアタイヤをギヤ側を外側にして,自分の正面に立たせて置き,cをギヤにかける.cのチェーンの長いほうが,ギヤの上のほうから左に回って,下のほうに達するようにする.ギヤはローギヤ(半径の大きいギヤ)に噛ませたほうがトルクがかかりやすい.cの短いほうのチェーンもギヤと下のほうで噛むようにする.
3.bを右手で持ち,ロックリングと噛みあわせて,両手を下に押すようにして,ロックリングを反時計周りに回して緩める.それほど大きな荷重をかけずにすんなり緩んだ.
4.緩んだロックリングを手で反時計周りにまわして,外す.
5.ギヤを外す.自分の場合は,一番小さいギヤが1枚もの,ほかの7段が一体になっており,それほど複雑ではない.1箇所だけ他より小さな凹みがあるので,それがうまくホイール側の凸と噛むように上下,角度を調節すれば,組み立てられる.
6.チェーンガードの役割の透明樹脂円盤プレートを,車軸から外す.この部品は4箇所の爪で引っかかって止まっているのだが,プレートが一部割れてしまった.とりあえずは再使用した.
7.タイヤの空気を抜き,タイヤをdを用いて外す.
8.折れたスポークの先端が残っているニップルを外す.このため,リムにまかれていた樹脂製のテープ(劣化して固くなっているよう)は,ニップルを入れる穴の部分でマイナスドライバーで掻き回し除去した.残っていたニップルは簡単に取り出せた.
9.スポークを取り付ける.車軸の穴に通して,スポークを少したわませながら,リム側の穴にスポークの反対側を持ってくる.スポーク間の関係は,近くの同じ配置をみながら間違わないようにする.
10.ニップルをリム側の穴に入れて,スポークにネジ止めする.マイナスドライバーやニップル回しで回して,そこそこのテンションをかけておく.
11.リムの樹脂製テープの破いた箇所にビニールテープを貼っておく.
12.バラした部品を戻していき,最後にgとhを使ってリムの振れを取る.

リムの振れをとるため,ぎりぎりとスポークを張っていると,2箇所くらいでニップルを舐めてしまった.気にせず調整を続けたが,舐めた1箇所のニップルがもうズルムケでどうやっても回せなくなってしまった(失敗1)
休憩がてら昼飯を食べたが,だんだん舐めた箇所が気に入らなくなり,予備の新品のスポークとニップルをそのズルムケニップルの箇所に取り付ける作業を決意した.

昼飯後,新たな気分で,3.を再度行おうとするが,道具を反対の手で持ってしまったため,ロックリングを締める方向にがんがん力を入れてしまった(失敗2).道具を持ち替え,正しい取り付けで反時計周りにトルクをかけてるも外れない.最大限の力をかけると,ロックリング外しがロックリングから滑ってなめるようになってしまう.いかん.この道具で出せる以上のトルクが必要のようである.焦りが生じ,「いじり壊す」,「安物買の銭失い」,「かっこわるいブログの駄記事」といった言葉が頭の中を去来する.
なんとか自力で外したいと,車軸を止めていたナットを17mmのメガネレンチで外し,車軸を抜くことでロックリング外しがより深く食いつくようにする案を決行する(失敗3).ナットをゆるめ,スペーサーみたいな分厚いワッシャをとり,車軸を引き抜くと,ベアリングの玉がホイール中心の内側に両面にあるのが見える.ちょっとタイヤを傾けると,ベアリングの玉はこぼれ落ちた.これもきれいにしようと,すべての玉を取り外し確保した.
ロックリング外しを差し込み,再度ロックリングを外そうと試みるが,外れない.バイクの後輪のシャフトを緩める感じで,ロックリングリムーバーを右足で蹴り下ろしても,外れない.外れるのは,フリーホイールチューナーばかり.さて,どうするか.自転車屋へヘルプを求めて駆けつけるというのが頭をよぎるが,わからないままやって,自転車屋に怒られたり嫌味を言われるのも嫌だし,自己解決したいとも思う..自力解決は諦め,身内解決ができないかと,奥さんにヘルプを請う.フリーホイールチューナーのほうを支えてもらって,自分はロックリング外しを回すのに専念して,トルクをかける.が,外れない.外れなくても走れるのなら,もう元に組み立てればよい,と奥さんから意見がでる.当方肯んじず.散らかした道具,自転車を片付けてくれとも言われるが,こちらもヤケがはいっており,邪魔なら蹴飛ばしてくれてかまわん,と言い放ち,車軸を通したリアタイヤを車で自転車屋に運んだ.

やっていた作業を止めて,ロックリングを外す試みを自転車屋ジョイのお兄さんはしてくれた.自分が購入したものの2,3倍の長さのフリーホイールチューナーと,ナット型のロックリング外しにこれまた大きなモンキーレンチを使い,お兄さん側にタイヤのギヤを向けて,膝をついて,荷重をかけてロックリングを外す試みがなされる.その間,お客が来ると,いらっしゃいませ~と言う余裕.1度2度,がきんと,工具が外れて滑り落ちるので,これはダメと言われるかな..と思ったが,3度めに緩めてくれた.いや,くださった.お代は..と言うと,そうですね..としばらくして消費税入れて864円也.反対に回すと全然回らなくなるんですねぇ,と支払い時に聞くと,そうですね,だんだん締め込まれるようになるので,とにこやかに同調される.助けていただいたことに礼を言い,自宅に戻って作業を再開する.なんとか光明はみえるが..

舐めたスポークの取り外しをすすめる.タイヤを外し,舐めたスポークのニップルがある部分のリムのテープを掻き削る.マイナスドライバーで回そうとするが,回らない.こんどは下のマイナスの部分を舐めてしまった.インパクトドライバーを取り出すも,サイズが手持ちでは大きすぎて無意味.鉄工ドリルでニップルとスポークを削り落とそうとする.しだいに削れていくが,貫通したのはリムでドリルがそれてしまった.(失敗4)同じ失敗を繰り返すと,ドリルの穴でニップルがとりつけられなくなっていまう.よくよく考えると,ニップルとリムはくっついていないのだから,スポークを切断すれば簡単に外せる.切断できるような刃物はないないなぁ..と思いながら,ネジザウルスでスポークを噛みこんで曲げようとするが,全然曲がらず.ネジザウルスの持ち手側は,ニッパーのように切れるようになっている.そこにスポークを挟んで,力をきると,難なくスポークは切れ,リムからスポークとニップルの残骸を取り出せた.新しいスポークとニップルを取り付けた.ドリルでつけたリムの穴はそのままである.
タイヤを取り付ける.向きを間違えて(失敗5),また,取り外し,取り付けた.

無意味に外した車軸を元に戻す作業を行う.まず,ベアリングの汚れはティッシュで拭い取った.ベアリングは片側9個で合計18個.うち9個がきっちりすこし赤みがかっていた.スプロケ側のサビが表面に付いてしまったようだが,金属光沢はあるので,問題はなさそうであった.
車軸を取り付けるためのナット,スペーサーをなんとなくこうであっただろう順番に決める.
ベアリングを入れるハブ側の溝も古いグリスを拭き取り,新しいグリス(バイク用のヤマハB)を塗りたくり,ベアリングを戻す.さて,あとは,ナットの締め付けである.とりあえず,締め付けると,ベアリングが滑らかに回らない.ベアリングがよく回転し,かつ,ガタがでないようにナットを2つ絞め込む必要があるとのことで,そのために,ベアリング側の2面のナット(球押し)に薄いスパナをかませ,もう一方のナットをレンチで締めるらしい.薄いスパナの専用の工具はハブレンチというが持っていない.電工ペンチの根本側の部分で,片方の2面のナットを押さえて,もう1方を17mmレンチでゆっくり締め込み,電工ペンチとナットが滑って回転してしまう程度までトルクをかけておいた.

ギヤをとりつけ,ロックリングを取り付ける.このロックリングも今回の失敗にこりて,あまり強く締めないようにした.手でスムーズにまわらなくなってから,30度から45度ほどぎりぎりっと回転して締め付けておいた.ロックリング外しとフリーホイールチューナーを使って少し力を加えると外れる程度.これで少し様子をみることにした.

あとは,車体にタイヤを取り付け,リムの振れをとる.このときも,少し,ニップルを舐めそうになった.よくよく考えると,ギリギリまで締めてしまったら,あとは,同じ方向にまわしても舐めるだけである(失敗6).そこで今回は緩める方向も含めて調整していった.

さて,ここからが自分にとって重要な今後への戒めと準備,である.

今回の失敗は6つ.
1.ニップルを舐めてしまった.一度舐めると癖になる.舐める寸前で,その方向の回転は諦め,緩める方向で考えるのがよいだろう.
2.ロックリングを逆に締め込んでしまった.どちらにロックリングが回転するのかよく考える.
3.車軸をわからないまま外して痛い目にあっている.作業の範囲を絞るべき.
4.不要なスポークを取り外すのに,強引すぎる手を用いた.今度からは外したいスポークはネジザウルスのニッパーで切断する.
5.タイヤの向きを間違えた.向きを確認する余裕があるうちに作業を終了しよう.
6.ニップルを舐めた.締めてばかりではいつかは舐めますよ..

今回残した懸念
1.ロックリングの締め付けトルクは足りているか?所定のトルクは40N・mであるが,バイクのサービスマニュアルを参考に体感的に妥当かチェックする.今後のことも考えると,トルクレンチとそれが使える六角ソケット,ナットタイプのロックリング外しが欲しいが,費用が嵩む.
2.ベアリングのクリアランス調整.ナットのトルクは足りているか?まずは,二面のネジを咬ませるのに必要なレンチのサイズを,ネジから測り取ろう.
3.リムの穴はふさいだほうがよい.リムの振れ取りを追い込んでから,バスコークか,靴の修理用パテで埋めよう.

一応,自転車は問題なく走っています.


追記2018/04/17
球押しの2面の間隔は15mm.幅は3mm程度.薄い15mmのスパナがあればよい.
バイクのフロントタイヤのシャフトのナットの取り付けトルクは56N・mほどである.
ロックリングの40N・mはかなりの力を込める必要がある.youtubeでも力を込めて締めていた.どうも自分のロックリングと,その下のナットとの隙間が狭すぎて,ロックリング外しががっちりロックリングをつかめないようである.シマノ製のナットタイプのものががっちりつかめるかは微妙.古いMTBのシャフトにそれより新しいギヤをつけているのが問題なのかもしれない.
一方で,手持ちの道具で再びロックリングを外し,締め付ける力をどれくらい強められるか,感覚で試してみたが,40N・mよりずいぶん弱い締め付けで手持ちの工具では緩められなくなる(すぐロックリング外しが滑る).しばし試行錯誤して,タイヤを平らなところに,ギヤ側を表にして置き,フリーホイールチューナーをギヤにかけ,ロックリング外しをロックリングに噛み合わせ,右足でその噛み合わせた上を踏んで,左手でフリーホイールチューナーとスポークを押さえつけて固定し,右手でプラスチックハンマーでロックリング外しの柄を叩いてやると,そのような場合でもロックリングが外れることがわかった.この場合でも40N・mには達していないように思える.最終的には,この方法によらないでもなんとか通常の工具の使い方でロックリング外しを押さえつけるようにして力を入れると外れる程度の締め付けにしておいた.
シマノのロックリング外しとそれをトルクレンチにつけるための24mmのソケットがあれば,もう少し精密に検証できそうだが,吉とでるかどうか..

追記2018/04/22
ダイソーで薄い13mmの片口スパナを購入.これはおそらく前輪の球押しの固定に使えるとふんでのこと.15mmは売っていなかった.こちらは自転車工具をネットで買うつもり.
追記2018/04/23
15mmはヤフオクでtobeのハブコンレンチ.送料込み570円でTポイント300使用で270円也.なぜTポイントが使えるのかはよくわからない.